創業のとき、多くの人が最初につまずくのが資金の壁だ。自己資金だけで始められる事業は限られていて、埼玉で開業を目指す方の多くが創業融資を検討する。今回は、埼玉の中小企業や創業者を数多く見てきた株式会社ザイプラの中小企業診断士に、創業融資サポートの実際を聞いた。

── そもそも創業融資とは、どういうものなんでしょうか?

創業融資というのは、これから事業を始める人、あるいは開業してまだ間もない人向けの融資のことなんです。代表的なのが日本政策金融公庫の「新規開業資金」で、実績がまだない段階でも、事業計画の中身で審査してもらえるのが大きな特徴ですね。

先日、埼玉県内で飲食店を開こうとしている方とお話ししていたら、「実績がないから、どうせ借りられないと思っていた」とおっしゃっていました。これ、けっこう多い誤解なんです。創業融資はまさに実績がない段階の人のための制度で、むしろ開業後2年3年と経ってしまうと、この枠が使いにくくなることもある。だから開業前後の半年から1年が、いちばん動きやすいタイミングだと考えています。

金額の目安でいうと、創業時に借りられるのは自己資金の2倍から3倍くらいというケースが多いです。たとえば自己資金が300万円あれば、600万円から900万円くらいが一つのラインになる。ただ、これはあくまで目安で、事業計画の説得力によって上下します。

埼玉は東京に隣接していて、川越や大宮、所沢といったエリアは商圏が広く、創業のチャンスが多い地域なんですね。一方で家賃や人件費といった初期コストも小さくない。だからこそ、いくら借りるか、そのお金がどう回るのかを最初に整理しておくことが、後々の資金繰りを左右します。まず全体像をつかみたい方は、 埼玉の中小企業が財務コンサルを使う3つの場面 を読んでいただくと、支援のイメージがわきやすいと思います。

── 埼玉で創業融資を受けるとき、どこに相談すればいいですか?

窓口は大きく分けて3つあります。一つ目が日本政策金融公庫、二つ目が埼玉りそな銀行や武蔵野銀行、それに地元の信用金庫といった民間の金融機関。三つ目が、市区町村と信用保証協会が組む制度融資ですね。

この中で、創業初期にまず検討されることが多いのが日本政策金融公庫です。というのも、民間の金融機関は創業段階だと保証協会の保証を求めることが多く、手続きにやや時間がかかる傾向があるんです。公庫は創業支援に積極的で、面談から着金まで1か月から1か月半程度で進むことも珍しくありません。

ただ、私がいつもお伝えしているのは、公庫か地元金融機関かの二択で考えないほうがいい、ということなんです。埼玉で長く事業を続けるつもりなら、地元の信用金庫や地銀との関係は早めに作っておいたほうがいい。開業時は公庫で調達しつつ、預金口座や日常の入出金を地元金融機関に置いておくと、2期目3期目の増額融資のときに話が早く進むことがあります。

実際、坂戸市で製造業を営む経営者の方は、創業時に公庫から500万円を借り、そのあと地元信金と付き合いを深めていった結果、3年後の設備投資で追加の融資をスムーズに受けられました。この「窓口を組み合わせる」発想が、埼玉の創業では効いてくるんです。

無料で相談できる窓口を探している方には、 埼玉で資金繰り相談を無料でする方法 も参考になるはずです。どこに聞けばいいか分からない段階でも、動きやすくなると思いますよ。

── 審査に通るために、いちばん重要なポイントは何でしょう?

結論から言うと、事業計画書と自己資金、この2つです。とくに事業計画書の中でも「数字の根拠」が問われます。

よくあるのが、売上予測を根拠なく高めに書いてしまうケースなんですね。月商200万円と書いてあるのに、その根拠が「がんばります」しかない。これだと審査担当者は納得しません。逆に、席数が20席で客単価が3000円、回転率が1日1.5回転、月25日営業だから月商は約225万円、といった具合に積み上げで説明できると、一気に説得力が増します。

自己資金については、目安として総投資額の3割程度あると通りやすいと言われています。1000万円で開業するなら300万円くらい。ただ、ここで見られているのは金額そのものよりも「どう貯めたか」なんです。毎月コツコツ貯めた通帳の履歴があると評価が高い。逆に、直前に親族から一時的にお金を移動させた、いわゆる見せ金と疑われる資金は、かえってマイナスになります。

先日ある創業予定の方が、自己資金の一部を審査の直前に親御さんから借りて口座に入れていて、それで審査担当者から資金の出所を細かく確認されたことがありました。悪意はまったくなかったのですが、説明に苦労された。だから資金の準備は、少なくとも半年前から計画的にやっておくのがおすすめです。

こうした数字の組み立ては、慣れていないと難しい部分でもあります。数字に強い経営の土台をどう作るかについては、 東京の中小企業が財務コンサルティングで変わる話 でも触れているので、創業前の方にも読んでいただきたいところです。

── 資金繰り表というのをよく聞きますが、創業時にも必要ですか?

必要です、というより創業時こそ命綱になります。資金繰り表というのは、これは月々のお金の入りと出を時系列で並べた表のことなんですが、利益とは別に「現金がいつ足りなくなるか」を可視化するものなんですね。

創業してまず直面するのが、利益は出ているのに現金がない、という状態です。たとえば売上が立っても入金は翌月末、一方で仕入れや家賃、人件費は先に出ていく。この時間差で資金がショートするんです。埼玉の卸売業のように、掛け取引が中心の業種だと、入金まで45日60日かかることも普通にあります。

このときに使う概念が運転資金です。運転資金というのは、事業を回し続けるために常に必要な手元のお金のことで、ざっくり言うと「売掛金+在庫−買掛金」で計算します。創業時は、この運転資金を融資額にきちんと織り込んでおかないと、開業3か月目あたりで急に苦しくなる。

私が支援した卸売の創業者の方は、最初の計画に運転資金をほとんど入れておらず、設備と内装だけで融資を使い切ってしまっていました。そこで資金繰り表を12か月分作り直したところ、4か月目に約80万円の資金不足が出ることが判明した。事前に分かったので追加の運転資金を織り込んで融資を組み直し、事なきを得ました。この「先に見える化する」のが、伴走型の財務コンサルティングでいちばん効く場面なんです。

資金繰りの考え方をもっと知りたい方は、財務・経営の記事をまとめた 財務・経営ブログ一覧 ものぞいてみてください。

── 埼玉の地域性で、創業融資に有利になることはありますか?

ありますね。埼玉は市区町村ごとの創業支援が比較的充実しているんです。多くの市で「特定創業支援等事業」という制度があって、指定のセミナーや個別相談を一定回数受けると、証明書が発行されます。この証明があると、制度融資の限度額が上乗せされたり、会社設立時の登録免許税が半額になったりといったメリットが受けられることがあるんです。

たとえば登録免許税の軽減は、株式会社設立の場合で本来15万円のところが7万5000円になる。金額としては大きいですよね。しかもセミナー受講は無料か低額で済むことが多いので、使わない手はありません。

埼玉は東京への通勤圏でありながら、地価や家賃が都心より抑えられるエリアが多いのも創業向きです。川越の観光需要、大宮の商業集積、越谷や春日部の住宅地商圏など、狙う商圏によって戦略が変わってくる。地域特性を踏まえた事業計画は、それ自体が審査での加点材料になります。

こうした地域制度は年度で内容が変わることもあるので、最新情報は各市の窓口で確認するのがおすすめです。全体像を専門家と一緒に整理したい場合は、 埼玉の中小企業向け 財務コンサル のページで対応エリアや支援内容を確認いただけます。制度を組み合わせれば、同じ事業でも数十万円単位で初期コストが変わってくるので、ここは丁寧にやる価値がありますよ。

── 創業融資サポートを専門家に頼むと、何が変わりますか?

いちばん変わるのは、通過率と、通った後の安心感の2つだと思っています。

まず通過率。日本政策金融公庫の創業融資は、一般的に半分前後が希望どおりには通らないとも言われる世界なんです。正確な公表値ではありませんが、準備不足で臨むと減額されたり否決されたりするケースは確かに多い。ここに事業計画の作り込みや面談の想定問答が入ると、結果が変わってきます。

私たちが伴走するときは、まず数字の根拠を一緒に固めて、面談で必ず聞かれる「なぜこの事業なのか」「競合とどう違うのか」「返済原資はどこから出るのか」といった質問に、その人自身の言葉で答えられるよう準備します。書類を代筆するのではなく、経営者本人が説明できる状態を作るのが伴走型のこだわりなんですね。というのも、面談は経営者本人が受けるものなので、本人が腹落ちしていないと必ず見抜かれるからです。

そして通った後。ここが実は本番なんです。借りて終わりではなく、そこから毎月の資金繰りを回し、返済しながら事業を育てていく。先ほどの卸売の方も、融資が下りた後も月1回のペースで数字を一緒に見て、半年後には資金繰り表を自分で回せるようになりました。この「自走できる状態」まで持っていくのが、私たちの目指すゴールです。

創業前にセミナーで基礎を押さえたい方は 財務セミナー(無料) が入り口になりますし、東京での支援事例が気になる方は 東京の中小企業向け 財務コンサル もご覧いただけます。数字に強い経営は、創業の最初の一歩から始められるものなんです。

── これから創業する埼玉の方へ、どこから動けばいいでしょう?

最初の一歩は、意外とシンプルです。自己資金の状況を整理して、ざっくりでいいので事業計画の骨子を書いてみる。そのうえで、公庫と地元金融機関、市の創業支援制度という3つの選択肢を並べて、自分の事業にどれが合うかを考える。ここまでを開業予定日の3か月から6か月前にやっておくと、資金繰りに余裕を持って開業できます。

埼玉で創業する強みは、東京の市場に近いのに固定費を抑えられること、そして市区町村の創業支援が使いやすいことです。この2つを活かしきれるかどうかで、開業初年度のキャッシュの残り方がまるで違ってきます。実際、同じ業種でも準備の差で、1年目末の手元資金が100万円以上変わることもあるんです。

株式会社ザイプラは、東京・埼玉を中心に神奈川・千葉、リモートで全国の中小企業や創業者を支援しています。中小企業診断士が事業計画づくりから資金繰り表の設計、融資後の伴走まで一緒に走ります。初回相談は無料なので、「創業融資、埼玉でどう動けばいいか分からない」という段階でも、まずは気軽に声をかけてもらえたら。会社の考え方は 会社概要・支援内容 にまとめてあります。数字に強い経営を、創業の最初から、いっしょに。