経営計画は「作る」より「回す」ことに価値がある

診断士:今日は東京・城東エリアで内装工事業を営むK社長にお越しいただきました。よろしくお願いします。

K社長:K工業のKです。よろしくお願いします。実はうち、経営計画って作ったことがなくて。銀行から「中期の計画を出してほしい」と言われて、初めて必要性を感じたんです。

診断士:多いパターンです。先に結論をお伝えすると、経営計画は「立派な資料を作ること」がゴールではありません。作った数字を毎月の実績と突き合わせて回し続けることに9割の価値があります。

K社長:回す、ですか。作りっぱなしじゃダメだと。

診断士:ええ。私たちが東京の中小企業を支援していて感じるのは、計画書はあるけど棚の中で眠っている会社が本当に多いこと。ある製造業の経営者の方は、5年前に金融機関向けに作った計画書をそのまま毎年コピーで提出していました。売上想定は当時のまま、実績とは3割もズレていた。それでは計画とは呼べません。

K社長:うちも似たようなことになりそうです。

診断士:だからこそ、最初から「毎月見返す前提」で作ることが大事なんです。売上を年間で1本の数字にするのではなく、12か月に分解して、季節変動も織り込む。K社長の内装業なら、年度末の3月と、逆に閑散期の8月では受注量が2倍近く違いますよね。

K社長:そうなんです。夏場はガクッと落ちます。

診断士:その凸凹を計画に描いておけば、8月の資金繰りが厳しくなる前に手が打てる。計画とは未来の資金繰りを先に見る道具でもあるんです。財務コンサルティングの全体像は 中小企業の財務コンサルティングとは(支援内容・費用) にまとめているので、後で目を通していただくといいかもしれません。

なぜ東京の中小企業ほど経営計画が武器になるのか

K社長:東京だと特に計画が要る、みたいなことってあるんですか。

診断士:あります。東京は競合の密度が全国トップクラスで、同じ商圏に同業が何社もひしめいている。感覚だけで走ると、価格競争に巻き込まれて利益率がじわじわ削られます。

K社長:それは痛いほどわかります。相見積もりで叩かれる場面が増えました。

診断士:東京の中小企業向け支援をしていると、粗利率が3年で5ポイント下がっていたのに社長が気づいていなかった、というケースに何度も出会います。数字に強い経営とは、この5ポイントの変化を早い段階で捉えて、受注選別や見積もり方針を見直すこと。経営計画があると、その変化が一目でわかります。

K社長:計画がないと、忙しさに紛れて見逃すと。

診断士:そうなんです。もう一つ、東京は取引先も金融機関も選択肢が多い。だからこそ「この会社は数字で語れる」という信頼が効きます。地元の信用金庫や地方銀行の東京支店との付き合いでも、計画を持って定期的に報告している会社は、いざというときの融資交渉がスムーズです。

K社長:なるほど。日頃の積み重ねが効くんですね。

診断士:先日、東京23区内で卸売業を営む経営者の方とお話ししたら、四半期ごとに計画と実績の差異を1枚のシートにまとめて銀行に渡していました。その1枚のおかげで、追加融資の審査が2か月から3週間に縮まったそうです。東京エリアの支援事例は 東京の中小企業向け 財務コンサル でも触れています。

K社長:3週間は早い。資金が必要なときにその差は大きいです。

診断士:計画は銀行への「安心材料」でもある。特に競争と情報量の多い東京では、その効果が増幅されると考えていいでしょう。

経営計画の骨格は3つの数字から始める

K社長:いざ作るとなると、何から手をつければいいのか。

診断士:シンプルにいきましょう。最初に固めるべきは「売上」「粗利率」「固定費」の3つです。この3つが決まれば、利益がいくら残るかは自動的に見えてきます。

K社長:たった3つでいいんですか。

診断士:骨格はそれで十分です。たとえばK社長の会社で、年間売上を1億2千万円、粗利率を28%、固定費を月250万円と置いてみましょう。粗利は3,360万円、固定費は年3,000万円。差し引き360万円が営業利益の目安になります。

K社長:ざっくりでもこう出ると、実感がわきます。

診断士:ここからが本番で、「では粗利率を28%から30%に上げるには何をするか」「固定費を月10万円削れる余地はどこか」と、打ち手を数字に紐づけて考える。抽象的に『頑張る』ではなく、粗利率2ポイント改善で年240万円という具体的な目標に変わります。

K社長:目標が金額で見えると、社員にも伝えやすそうですね。

診断士:そこが大事なんです。以前ご相談いただいた東京の飲食関連の会社では、原価管理が甘くて粗利率が把握できていませんでした。仕入れの見直しと廃棄ロスの削減を計画に組み込んだところ、半年で粗利率が3ポイント改善。金額にして年間で200万円以上の効果が出ました。

K社長:3つの数字を握るだけで、そこまで変わるものですか。

診断士:握って、毎月見返すからです。この3数字の作り方や壁打ちは、月次で伴走する 中小企業の財務顧問(予実管理・月次の伴走) の中核でもあります。数字を追う習慣が、そのまま経営体質を変えていきます。

計画と実績のズレをどう扱うか

K社長:計画を作った後、実績とズレたらどうすればいいんでしょう。ズレるのが怖くて。

診断士:むしろズレて当然、と考えてください。計画はピタリと当てるためではなく、ズレの原因を早く知るためにあります。

K社長:外れてもいいんですか。

診断士:いいんです。大事なのはズレた理由を分解すること。売上が計画比マイナス10%だったとして、それが「受注件数が減った」のか「1件あたりの単価が下がった」のかで打ち手はまるで違います。件数減なら営業活動、単価減なら見積もり方針の見直しですよね。

K社長:確かに、原因が違えば対策も違いますね。

診断士:私たちが伴走するときは、毎月の月次試算表が出たタイミングで、計画との差異を必ず3つに絞ってお話しします。全部の項目を追うと疲れてしまうので、影響の大きい3つだけ。これで会議が15分で終わるようになった会社もあります。

K社長:15分。それなら続けられそうです。

診断士:継続できることが何より重要です。ある東京の建設関連の会社では、最初は差異分析に1時間かかっていましたが、フォーマットを固定したら20分に短縮できた。3か月続けたころには、社長自身が「今月はここがズレそうだ」と先読みできるようになっていました。

K社長:先読みできるって、経営者として理想ですね。

診断士:それが数字に強い経営の入り口です。ズレを恐れず、ズレから学ぶ。この姿勢が資金繰りの安定にも直結します。計画と資金繰りの関係は、リスケの局面でも重要になります。詳しくは リスケの銀行交渉支援|資金繰りを立て直す実務 も参考になるはずです。

資金繰り計画をセットで作る

K社長:利益の計画はイメージできてきました。でも、利益が出ていても資金が足りなくなることってありますよね。

診断士:鋭い指摘です。利益と現金は別物。ここを混同して黒字倒産に近づく中小企業は少なくありません。だから経営計画には、必ず資金繰り計画をセットで組み込みます。

K社長:利益が出てるのにお金がない、ってどういう状況なんですか。

診断士:K社長の内装業でいえば、工事が完成しても入金は2〜3か月後、でも材料費や外注費の支払いは先。この時間差、いわゆる回収と支払いのズレが資金を圧迫します。売上が伸びれば伸びるほど、立替える運転資金が増えていく。

K社長:あ、それまさに今悩んでいるところです。仕事が増えたのに手元が苦しくて。

診断士:典型的な「増加運転資金」の問題ですね。先日ある東京の卸売業の経営者の方も同じ悩みでした。売上が前年比20%伸びたのに、資金が回らない。試算したら、必要運転資金が1,500万円も増えていたんです。

K社長:それは事前にわかるものなんですか。

診断士:資金繰り計画を作っていれば見えます。売掛金の回収サイトと買掛金の支払いサイトを月次で並べて、資金が最も細る月を先に特定する。その会社では計画上、資金が底をつく3か月前に判明したので、余裕をもって銀行と交渉できました。

K社長:3か月前だと動けますね。ギリギリだと足元を見られそう。

診断士:まさにそこです。資金が枯渇してから駆け込むと、条件は悪くなりがち。計画で先回りすれば、有利な交渉ができます。こうした資金繰り改善の考え方は 東京の中小企業が財務コンサルで変わる夜 でも物語として書いています。利益計画と資金繰り計画は、いわば車の両輪です。

金融機関に伝わる計画書のつくり方

K社長:銀行に出す計画書って、何か書き方のコツはあるんですか。見栄えのいい資料を作ればいいんでしょうか。

診断士:見栄えより中身、そして一貫性です。金融機関の担当者が見ているのは「この数字は根拠があるか」「実現可能か」の2点。夢のような右肩上がりのグラフより、地に足のついた数字が信頼されます。

K社長:盛りすぎると逆効果ってことですね。

診断士:そのとおり。前年から売上を1.5倍にする計画を、理由なく出しても信じてもらえません。むしろ「なぜその数字になるのか」を1つずつ説明できることが大切です。新規取引先が2社増える、単価が5%上がる、そうした積み上げで語る。

K社長:積み上げで説明する、と。

診断士:金融機関の東京の支店では、決算書と計画書の整合性も見られます。過去3期の実績トレンドと、計画の数字が地続きになっているか。ここが飛んでいると、担当者は稟議を通しにくい。逆に整合していれば、行内の説明もしやすくなります。

K社長:担当者が社内で説明しやすいかどうか、まで考えるんですね。

診断士:融資は担当者一人では決まりません。支店内、本部と通っていく。だから「担当者が上に説明しやすい資料」が結果的に採択率を上げます。補助金でも同じ構造で、 補助金 申請支援 東京の中小企業が採択率を上げる実務 でも触れています。

K社長:計画書ひとつで、そこまで差が出るとは思いませんでした。

診断士:以前支援した東京の会社では、計画書の作り込みを一緒にやった結果、希望額の融資が満額で通りました。同じ会社が前年に自力で出したときは減額されていたので、伝え方の差は数百万円の資金として跳ね返ってきます。

策定支援を外部の専門家と進めるメリット

K社長:正直、これ全部を自分でやるのは大変そうです。外部に頼むのって、どうなんでしょう。

診断士:もちろん自社だけで作れれば理想です。ただ、経営者は日々の業務で手一杯。計画づくりは重要でも緊急ではないので、後回しになりがちなんですよね。

K社長:まさに、いつも「今度やろう」で3年経ちました。

診断士:多くの経営者が同じです。外部の専門家と進めるメリットは3つあります。1つ目は、締め切りができて実際に完成すること。2つ目は、社長が気づいていない数字の癖を第三者が指摘できること。3つ目は、金融機関に通じる書き方を知っていることです。

K社長:第三者の目、というのは大きいかもしれません。

診断士:社内だと、どうしても過去の延長で考えてしまう。私たちが東京の中小企業に伴走するときは、あえて「その前提、本当ですか」と問い直します。当たり前だと思っていた粗利率や取引条件に、改善余地が眠っていることが多いんです。

K社長:費用感も気になります。

診断士:料金は事前に明示しています。 財務コンサルティングの料金・費用(料金表を公開) で公開していますし、まずは 初回相談無料の財務セミナー で全体像をつかんでいただくのも一つの手です。株式会社ザイプラは中小企業診断士が、東京・埼玉を中心に神奈川・千葉、リモートなら全国で伴走しています。

K社長:初回が無料なら、まず話を聞いてみたくなりますね。

診断士:気負わず、いまの数字を持ってきていただくだけで大丈夫です。会社の状況は 株式会社ザイプラのトップページ 会社概要 でも確認いただけます。計画は完璧である必要はありません。まず1枚、未来の数字を描くところから、資金繰りの景色は変わり始めます。