「顧問税理士はいるのに、なぜ中小企業診断士にも財務相談を?」──埼玉の中小企業からよく受ける質問だ。結論から言えば、税金の計算と“未来のお金の設計”は別物だからだ。決算書を作るのが税理士なら、その数字を使って半年先・1年先の資金繰りを描くのが診断士の役割になる。今回は株式会社ザイプラの中小企業診断士に、埼玉という地域ならではの財務相談の実際を聞いた。
── そもそも中小企業診断士への財務相談って、税理士と何が違うんですか?
よく聞かれるんですが、いちばん大きいのは「見ている時間軸」なんです。税理士さんは基本的に過去の数字、つまり終わった期の決算や申告を正確に処理するプロ。これはこれで絶対に必要な仕事です。一方で診断士がやる財務相談は、これから先のお金の動きを描くことに軸足があります。
たとえば先日、埼玉県内で製造業を営む経営者の方とお話ししていたら、「決算では利益が出てるのに、なぜか毎月末になると通帳の残高がヒヤヒヤする」とおっしゃっていて。これ、いわゆる勘定合って銭足らずの典型なんですね。利益と現金は一致しない。売上が立っても入金は2か月先、でも仕入れと給料は先に出ていく。その時間差、つまり運転資金──これは事業を回すために常に寝かせておかないといけないお金のことなんですが──が読めていないと、黒字でも資金がショートします。
診断士の財務相談では、まずこの資金の流れを一枚の表に落とします。過去を正確に記録する会計と、未来を予測して手を打つ財務。この両輪がそろって初めて数字に強い経営になる。税理士さんと診断士は競合ではなく、役割分担なんです。私たちの 中小企業の財務コンサルティングと税理士との違い については、費用感も含めて別途まとめています。実際、埼玉の中小企業でも「税理士はいるが将来のお金の相談相手がいない」という声が全体の6割以上を占める印象です。
── 埼玉の中小企業ならではの財務相談の特徴はありますか?
あります。埼玉って製造業と卸・小売、それに建設関連の中小企業が非常に多い地域なんですね。県内の事業所のうち中小企業が占める割合は99%を超えていて、これは全国とほぼ同じですが、業種構成にちょっと特徴がある。
たとえば製造業だと、大手の下請け・孫請けの立場が多くて、支払いサイトが長い。納品してから入金まで4か月、なんてケースも珍しくありません。その間の運転資金をどう確保するかが財務相談の中心になります。建設関連なら、工事の進行に合わせて外注費や材料費が先行して出ていくので、1件の大型案件で一気に資金が張り付く。売上規模が3億円でも、手元資金が1か月分を切っていた、という相談も過去にありました。
地域的な話でいうと、埼玉は東京への通勤圏でありながら地価や家賃が抑えられるので、東京と埼玉の両方に取引先を持つ企業が多い。この「立地の二面性」をどう財務戦略に活かすかも、埼玉の中小企業ならではのテーマです。埼玉に特化した支援は 埼玉の中小企業向け財務コンサル のページにまとめていますが、川越・所沢・さいたま市あたりの企業から、業種を問わず年間を通じてご相談をいただきます。地域の実情を踏まえた財務相談ができるかどうかで、打ち手の精度がまるで変わってくるんです。
── 財務相談の第一歩、資金繰り表って具体的に何をするんですか?
最初にやるのは、ほぼ間違いなく資金繰り表の作成です。資金繰り表というのは、毎月いくら入って、いくら出て、月末にいくら残るかを時系列で並べた一覧表のことなんですが、これがあるだけで経営者の不安が半分くらい消えます。
作り方はシンプルで、まず過去6か月の実績を入金・出金に分けて拾い出します。売上入金、借入、それに対して仕入れ・人件費・家賃・返済・税金。これを月ごとに並べると、自社のお金のクセが見えてくる。埼玉のある小売業の方は、この表を作った瞬間に「毎年6月と12月に必ず資金が薄くなる」と気づかれました。賞与と納税が重なる月ですね。分かっていれば、3か月前から手を打てる。予測できない不安が、予測できる課題に変わるわけです。
そのうえで、向こう6か月から12か月の見通しを立てます。ここで役立つのが予実管理──予算と実績を毎月突き合わせて差異を追う仕組みのことなんですが──で、月次で回すことで「なぜ予測とずれたのか」を早期に把握できる。この月次の伴走は 中小企業の財務顧問による予実管理・月次の壁打ち として継続的に提供していて、多くの企業で3か月ほど続けると数字を見る習慣が定着します。資金繰り表は一度作って終わりではなく、毎月更新してこそ武器になる。ここが独学だと続きにくいポイントで、伴走者がいる意味が出てくるところなんです。
── 資金繰りが厳しくなったとき、埼玉の金融機関とはどう付き合えばいいですか?
これは本当に大事な話です。埼玉の中小企業は、地元の信用金庫や地方銀行との関係が事業の生命線になっているケースが多い。メガバンクより、地域に根ざした金融機関との付き合いのほうが濃いんですね。
よくあるのが、返済が苦しくなってから慌てて銀行に相談に行くパターン。これは順番が逆なんです。銀行が最も警戒するのは「情報が出てこない会社」。業績が悪いこと自体より、悪くなっているのに何も報告がないことのほうが信用を落とします。だからこそ、四半期に一度でいいので試算表と資金繰り表を持って、こちらから状況を共有しに行く。この積み重ねが、いざという時の交渉力になります。
実際、リスケ──リスケジュール、つまり返済条件の見直しのことなんですが──が必要になった場面でも、日頃から数字を開示してきた企業は話が通りやすい。銀行担当者も「この社長は数字を分かっている」と判断できるからです。 リスケの銀行交渉支援で埼玉の中小企業が資金繰りを立て直した事例 でも触れていますが、返済額を一時的に月商の3%程度まで圧縮して、1年かけて立て直したケースもあります。財務相談を通じて金融機関に出す資料の質を上げるだけで、交渉の空気が変わる。診断士が同席することで、経営者一人では言いにくい将来計画も客観的な数字で語れるようになるんです。
── 財務相談って、実際どのくらいの期間で効果が出るものですか?
正直に言うと、業種や状況で幅はあります。ただ、目安として資金繰りの「見える化」だけなら初回相談から1か月以内に形になることが多いです。資金繰り表を作って、直近の危険な月が特定できれば、それだけで手の打ちようが出てくる。
数字を使った経営が回り始めるのは、だいたい3か月から6か月あたり。月次でお会いして予実を突き合わせ、差異の原因を一緒に考える。この壁打ちを何度か繰り返すと、経営者ご自身が「あ、この費用が想定より膨らんでるな」と自分で気づけるようになる。これが理想の状態です。私たちは答えを渡すのではなく、経営者が自分で数字を読めるようになる伴走を目指しています。
埼玉県内のあるサービス業の方は、月次の財務相談を半年続けたことで、粗利率を2ポイントほど改善されました。大きな数字に見えないかもしれませんが、売上2億円の会社なら年間400万円の差になる。しかも仕組みとして残るので、翌年以降も効き続けます。より広い経営の設計図を描きたい場合は 経営計画の策定支援で数字から動く方法 も参考になります。まずは全体像をつかみたいという方には、各地で開いている 無料の財務セミナー から入っていただくのもおすすめです。
── 財務相談や財務顧問の費用感って、中小企業でも払える範囲なんですか?
ここを不安に思う経営者の方、すごく多いです。「コンサルって高いんでしょう」と。結論を言うと、初回相談は無料ですし、月次の財務顧問も中小企業が続けられる水準を意識して設計しています。
考え方としては、財務相談は「コスト」ではなく「投資」なんですね。たとえば資金繰りの見通しが立つことで、慌てて高い金利の資金調達をせずに済む。あるいは決算前に手を打つことで、納税と資金のバランスを整えられる。 決算対策は埼玉の中小企業ほど早めが効く という記事でも書きましたが、決算の3か月前に相談するのと、決算月に相談するのとでは打てる手の数が段違いです。前者なら5つ以上の選択肢があっても、後者だと1つか2つしか残っていない。
先日ある建設業の経営者の方が、「もっと早く相談していれば」とおっしゃっていました。決算直前に来られて、できることが限られてしまった。逆に言えば、早めに動けばそれだけ選択肢が広がるということです。料金については 財務コンサルティングの料金・費用 で表を公開しているので、まず金額感を確認してから相談するかどうか決めていただいて構いません。透明性は伴走の前提だと考えています。
── 最後に、財務相談を検討している埼玉の経営者へ伝えたいことは?
一つだけ言えるのは、「数字が苦手だから相談しない」というのは、いちばんもったいない選択だということです。むしろ苦手だからこそ、一緒に見てくれる相手が要る。私たちの役割は、経営者を数字で追い詰めることではなく、数字を味方につけてもらうことなんです。
埼玉の中小企業は、地域経済を支える大切な担い手です。景気の波、原材料高、人手不足──外部環境が厳しいときほど、自社のお金の流れを正確に把握しているかどうかが生死を分ける。資金繰り表一枚、予実管理の仕組み一つで、経営の景色は変わります。過去に相談された方の多くが「早く来ればよかった」とおっしゃる。裏を返せば、今日が一番早い日なんですよね。
株式会社ザイプラは、東京・埼玉を中心に神奈川・千葉、リモートなら全国の中小企業に対して、中小企業診断士が財務相談から月次の伴走まで対応しています。初回相談は無料です。会社の考え方や支援内容は 会社概要 に、東京エリアの支援は 東京の中小企業向け財務コンサル にまとめています。まずは気軽に 株式会社ザイプラのトップページ からお問い合わせください。数字に強い経営を、いっしょに描いていきましょう。