池袋で事業を営む中小企業にとって、財務相談は「困ってから駆け込む場所」ではなく「数字に強い経営を回し続けるための仕組み」になりつつある。今回は株式会社ザイプラの中小企業診断士に、池袋・豊島区エリアの中小企業が財務相談をどう活かせるのか、インタビュー形式で聞いた。
── 池袋の中小企業が財務相談に来るきっかけは何ですか?
一番多いのは、やっぱり資金繰りですね。手元の現金がだんだん薄くなってきて、「来月の支払い、大丈夫かな」と不安になった瞬間に相談に来られる方が多いです。感覚で言うと、初回相談の6割くらいは資金繰りの話から始まります。
池袋って、飲食・小売・サービス業の密度がすごく高いエリアなんですね。豊島区は事業所の数も多くて、1平方キロメートルあたりの事業所密度は23区でも上位に入る。つまり競争も激しいし、家賃などの固定費も高めです。だから、売上は立っているのに手元にお金が残らない、という相談が本当に多い。
先日ある飲食系の経営者の方とお話ししていたら、「月商は800万円あるのに、月末になると通帳の残高が30万円を切る」とおっしゃっていて。これ、よくあるパターンなんです。売上が大きくても、仕入れや人件費の支払いタイミングと、売上が入金されるタイミングがズレていると、手元資金が常に綱渡りになる。これを「資金繰りのギャップ」と呼ぶんですが、まずそのギャップを見える化するところから始めます。
具体的には 資金繰り表 を一緒に作るんですね。これは向こう3か月から6か月の入金と出金を日付ベースで並べた表なんですが、これを作るだけで「あ、15日の仕入れ支払いがきつい」といった山と谷がはっきり見える。見えれば打ち手が打てます。感覚でやっていた資金管理を、数字で回す経営に変えていく。その入り口が財務相談なんです。
── 池袋・豊島区という立地ならではの財務課題はありますか?
ありますね。大きく言うと「固定費の高さ」と「業種の季節変動」の二つです。
池袋は駅周辺の商業地だと、坪あたりの賃料が周辺エリアより2割から3割高いことも珍しくない。だから、同じ売上規模でも利益率が圧迫されやすい。ここで効いてくるのが固定費と変動費の切り分けなんですが、これを「損益分岐点分析」と言います。簡単に言うと、毎月いくら売れば赤字にならないかの分岐点ですね。
以前、豊島区内で小売店を2店舗運営されている方がいらっしゃって。片方は黒字なのに全体では利益がほとんど出ていない。調べてみると、2号店の損益分岐点売上高が月420万円なのに、実際の売上が380万円で40万円足りていなかった。つまり1店舗が全体の足を引っ張っていたわけです。この「どこで利益が漏れているか」を数字で特定できると、閉店するのか、家賃交渉するのか、商品構成を変えるのか、議論が具体的になる。
季節変動も池袋特有の難しさです。繁華街の業種は月によって売上の振れ幅が大きくて、好調月と不調月で売上が1.5倍違うこともある。この波を均すために運転資金をいくら確保しておくべきか、という設計が欠かせません。運転資金というのは、事業を回し続けるために常に必要な手元資金のことなんですが、これが不足すると好調なのに倒れる「黒字倒産」のリスクが出てくる。地域の事業環境を踏まえた財務設計は、 東京の中小企業向け財務コンサル でも特に力を入れている部分です。
── 地元の金融機関との付き合い方について教えてください
これは意外と軽視されがちなんですが、池袋エリアの中小企業にとって、地元金融機関との関係はものすごく大事です。都市銀行だけじゃなく、信用金庫や地域の金融機関が中小企業の資金繰りを支えている現実がある。
よくあるのが、業績がいいときには銀行と疎遠で、悪くなってから慌てて融資をお願いに行くパターン。これ、順番が逆なんです。銀行というのは、調子がいいときにこそ関係を作っておくべき相手なんですね。
以前お手伝いした会社では、月次の試算表を毎月きちんと作って、頼まれる前に銀行へ提出する習慣をつけました。試算表というのは、月ごとの簡易的な決算書みたいなものなんですが、これを定期的に見せることで「この会社は数字をちゃんと管理している」という信頼が積み上がる。結果として、いざ設備投資のための融資を申し込んだとき、希望額3,000万円に対してスムーズに満額回答が出た。日頃の情報開示が効いたわけです。
融資交渉そのものについては、 銀行融資サポートで東京の中小企業が資金繰りを3か月分改善した話 で具体的な進め方を紹介しています。ポイントは、銀行が見ているのは過去の実績だけじゃなくて、将来の返済計画の説得力だということ。「なぜこの金額が必要で、どう返すのか」を数字で語れる経営者は、やっぱり強いです。借りる力も、数字に強い経営の一部なんですよ。
── 財務相談と税理士さんへの相談は何が違うのですか?
これ、本当によく聞かれます。「もう顧問税理士がいるから財務相談はいらないんじゃないか」と。
役割が違うんですね。税理士さんは主に「過去の数字を正しく申告する」のが専門領域です。決算や税務申告、記帳のチェック。これはこれで絶対に必要です。一方で私たち財務コンサルがやるのは「未来の数字をどう作るか」。資金繰りの予測、利益計画、銀行との交渉戦略、こういった前を向いた部分なんです。
先日、豊島区のサービス業の経営者の方が「税理士さんに資金繰りを相談したら、それは専門外だと言われた」とおっしゃっていて。これ、税理士さんが悪いわけじゃなくて、守備範囲が違うだけなんです。野球で言えばピッチャーに外野守備を求めるようなもので。
理想は両方が連携すること。税理士さんが作った正確な決算数字を土台にして、私たちがそれを経営判断に使える形に翻訳していく。たとえば決算書を見て「当座比率が80%まで下がっている」と分かったとします。当座比率というのは、すぐ現金化できる資産で短期の借金をどれだけ返せるかの指標なんですが、これが100%を切ると短期的な支払い能力に黄色信号が灯る。この数字をどう改善するか、という打ち手を一緒に考えるのが財務相談の仕事です。
税理士との違いや費用感については 財務コンサルティングとは何か のページで整理しているので、今の支援体制で足りているか迷っている方は見てみてください。多くの場合、税理士さんと財務コンサルは競合じゃなくて補完関係なんです。
── 月次でどんなふうに伴走するのですか?
基本は月1回のペースで、経営者の方と数字を見ながら壁打ちをします。この「壁打ち」というのがけっこう重要で。
中小企業の経営者って、意外と相談相手がいないんですよ。社員には弱音を吐けないし、家族に細かい数字の話もしづらい。だから、利害関係のない立場で一緒に数字を眺めて、「ここ、どう思います?」と問いかける相手がいるだけで、判断の質がぐっと上がる。
具体的には予実管理をやります。予実管理というのは、立てた計画(予算)と実際の結果(実績)を突き合わせて、ズレの原因を探ることなんですが、これを毎月回すと経営のPDCAが自然に回り始める。たとえば「今月は粗利率が計画より5ポイント低い。原因は仕入れ値の上昇か、それとも値引き販売が増えたのか」と一つずつ潰していく。
ある製造系の会社では、この月次の伴走を1年続けた結果、営業利益率が3%から7%に改善しました。劇的なことをしたわけじゃなくて、毎月数字を見て小さな軌道修正を12回繰り返しただけ。でもその積み重ねが大きい。 中小企業の財務顧問(月次の伴走) では、こうした月次の壁打ちを続けていく中で、経営者自身が数字に強くなっていくのを何度も見てきました。
最初は「決算書の読み方がよく分からない」と言っていた方が、半年後には「この借入れ、金利が高いから借り換えを検討したい」と自分から言い出す。これが伴走の醍醐味です。魚を釣ってあげるんじゃなくて、釣り方を一緒に覚えていく感覚ですね。
── 池袋の中小企業が最初の一歩として何から始めるべきですか?
いきなり全部やろうとしないことですね。財務の仕組みづくりって、マラソンみたいなもので、最初から全力疾走すると続かない。
おすすめの順番としては、まず手元の現金の動きを把握すること。つまり資金繰り表を作る。向こう3か月分でいいんです。これだけで「いつお金が足りなくなるか」が先に分かるので、慌てずに手が打てる。
次に、過去3年分くらいの決算書を並べて傾向を見る。売上は伸びているのに利益が減っていないか、借入れが年々増えていないか。こういう「流れ」は1年単位では見えなくて、3年並べて初めて分かることが多いんです。
そのうえで、改善テーマを1個か2個に絞る。あれもこれもと欲張ると、結局どれも中途半端になる。たとえば「まず資金繰りの谷を埋める」と決めたら、半年はそこに集中する。
知識のインプットとしては、 財務セミナー(無料) で全体像をつかむのも一つの手です。いきなり個別相談はハードルが高いという方も、セミナーなら気軽に数字の考え方に触れられる。実際、セミナー参加をきっかけに「うちももっと数字で経営したい」と相談に進まれる方が、参加者の2割から3割はいらっしゃいます。他社の事例が気になる方は 財務・経営のブログ一覧 も参考になるはずです。
池袋・豊島区の中小企業は、立地のポテンシャルが高いぶん、数字の管理次第で伸びしろも大きい。感覚頼みの経営から、数字に強い経営へ。その転換点に、財務相談はちょうどいいきっかけになります。
── 最後に、相談を迷っている経営者へメッセージを
「まだ相談するほどじゃない」と思っている方ほど、早めに来てほしいんです。本当に。
財務の問題って、火事と同じで、ボヤのうちなら水をかければ消える。でも燃え広がってからだと、消火にかかるコストも時間も何倍にもなる。資金繰りが本当に詰まってからの相談は、選べる打ち手がどうしても限られてしまう。
株式会社ザイプラは、東京・埼玉を中心に、神奈川・千葉、そしてリモートで全国の中小企業の財務コンサルティングに伴走しています。中小企業診断士が、資金繰り改善から経営計画、銀行融資のサポートまで、数字に強い経営をいっしょに考えていく。初回相談は無料です。
支援内容や私たちの考え方は 会社概要 に、料金の目安は 財務コンサルティングの料金・費用 に公開しています。埼玉エリアの方向けには 埼玉の中小企業向け財務コンサル のページも用意しました。
通帳の残高を見てふと不安になった、そんな夜が一度でもあったなら、それはもう相談のタイミングなのかもしれません。数字は裏切らないし、味方にすれば心強い。その一歩を、いっしょに踏み出しましょう。