「財務コンサルって、結局のところ何をやってくれるんですか」──これは初回相談でいちばん多く聞かれる質問です。決算書の作成は税理士、日々の記帳は会計事務所。では財務コンサルの役割はどこにあるのか。今回は株式会社ザイプラの中小企業診断士に、現場でのやりとりを交えながら、中小企業 財務コンサルの実像を語ってもらいました。
── そもそも中小企業の財務コンサルって、何をするんですか?
いちばんシンプルに言うと、「経営者が数字で判断できる状態をつくる」ことなんです。よく誤解されるんですが、税理士さんの仕事と重なるようで、実は見ている時間軸が違います。税理士さんは基本的に過去、つまり終わった決算をきちんと整える。私たち財務コンサルが見るのは、これから先の3か月、6か月、1年です。
具体的には、資金繰り表をつくって毎月更新する。資金繰り表というのは、これは「いつ、いくらお金が入って、いくら出ていくか」を先の数か月まで一覧にした表のことなんですが、これがない会社が本当に多い。私が関わってきた中小企業のうち、初回相談の時点で資金繰り表を持っていたのは、体感で2割あるかどうかです。残り8割は、通帳の残高を見ながら「まだ大丈夫そうだ」と勘で回している。
先日ある製造業の経営者の方とお話ししていたら、「利益は出てるのに、なぜか毎月末になると胃が痛い」とおっしゃるんですね。決算書上は黒字。でも手元のキャッシュが薄い。原因を一緒に洗い出したら、売掛金の回収が2か月後、仕入れの支払いは翌月末、という時間のズレが効いていました。数字を並べたら30分で見えたことを、5年間ずっと胃を痛めながら抱えていたわけです。作り方の基本は 資金繰り表のつくり方 でも整理していますが、まずはこの一枚があるだけで景色が変わります。財務コンサルの入口は、たいていここなんです。
── 資金繰り改善って、具体的にどう進めるんですか?
順番があるんです。いきなり銀行に借りに行く、ではありません。まず「なぜ足りないのか」を分解する。ここを飛ばすと、借りては返し、また借りる、の悪循環にはまります。
分解のときに使うのが運転資金という考え方です。運転資金というのは、これは事業を回し続けるために立て替えている資金のことで、ざっくり「売掛金+在庫−買掛金」で計算します。たとえば売掛金が2,000万円、在庫が1,000万円、買掛金が800万円なら、運転資金は2,200万円。この2,200万円は、売上が伸びれば伸びるほど大きくなる。だから成長している会社ほど資金が足りなくなる、という一見不思議なことが起きるんですね。「黒字なのに苦しい」現象の正体はここにあることが多くて、詳しくは 黒字なのに資金が足りない理由 でも掘り下げています。
改善の打ち手は、大きく3つ。回収を早める、支払いを適正化する、在庫を圧縮する。ある卸売業の会社では、主要取引先3社の回収サイトを平均で15日短縮できただけで、常時400万円ほど手元資金が厚くなりました。特別な資金調達をしたわけではなく、請求のタイミングと締め日を見直しただけです。
この「まず自社の中で改善できることを探す」という姿勢が、私たちの伴走の基本方針です。外からお金を入れる前に、体質を整える。そのうえで、それでも必要な分だけ融資で補う。順番を守るだけで、資金繰りは驚くほど安定します。
── 銀行融資のサポートもしてもらえるんですか?
はい、むしろここは財務コンサルの見せ場のひとつです。中小企業の資金調達で、銀行融資は今も王道ですから。ただ、多くの経営者が「決算のときに一度だけ銀行と会う」という付き合い方になっていて、これがもったいない。
銀行が融資判断で見るポイントは、実はある程度決まっています。返済能力、資金使途、財務の安全性、経営者の姿勢、そして継続的な情報開示。この5点は 銀行融資の交渉で見られる5つのポイント で詳しく書いていますが、共通して効くのが「試算表」なんです。試算表というのは、これは決算を待たずに月次でつくる簡易な財務状況の一覧のことで、これを毎月きちんと出している会社は、それだけで信頼度が上がります。
先日、創業7年目のサービス業の方から「金利を下げたい」と相談を受けました。話を聞くと、決算書は年1回渡すだけ。そこで月次試算表と資金繰り表を毎月提出する形に変えて、半年ほど続けたところ、次の借り換えのタイミングで条件を見直してもらえました。金利にして0.4%ほどの差でしたが、借入3,000万円なら年間12万円。地味に見えて、こういう積み重ねが効くんです。
銀行との対話は、いわば継続的な情報開示の勝負です。数字に強い経営というのは、社内の判断だけでなく、外部への説明力にも直結します。私たちが同席して数字の背景を補足するだけで、面談の質がまるで変わることも珍しくありません。
── 補助金の活用も相談できますか?
できます。ただ、これも順番の話になるんですが、「補助金が当たったから何かやる」ではなく「やりたいことがあって、その資金の一部を補助金で賄う」が正しい順序です。逆になっている会社が本当に多い。
補助金は原則として後払いです。ここを見落とすと危ない。たとえば1,000万円の設備投資に補助率2分の1で500万円の補助が出るとします。でも入金は事業完了後、早くても数か月先。その間の1,000万円は自分で立て替えないといけない。つまり補助金を使うほど、一時的に資金繰りは苦しくなるんです。この立て替え分をどう手当てするか、融資とセットで設計する。ここまでやって初めて補助金は財務戦略になります。詳しい組み合わせ方は 補助金と財務戦略の組み合わせ方 にまとめました。
以前、小売業の経営者から「補助金が採択されたのに、着手できていない」という相談を受けたことがあります。理由を聞くと、まさにこのつなぎ資金の問題でした。せっかく採択されても、手元資金が足りず動けない。もったいない話です。逆に言えば、資金繰りと補助金を一体で考えておけば、チャンスをきちんと形にできる。財務顧問がいる意味は、こういう場面で大きく出ます。
── 東京・埼玉の中小企業ならではの事情ってありますか?
ありますね。東京は取引先の数も金融機関の選択肢も多い分、競争も激しい。都市部の中小企業は家賃や人件費といった固定費が重くなりがちで、その分だけ資金繰りの余裕が薄くなりやすいんです。固定費が月に50万円違えば、年間で600万円。この差は経営体力にじわじわ効いてきます。 東京の中小企業向け財務コンサル では、こうした都市部特有の構造も踏まえて支援しています。
埼玉は、また少し色が違います。製造業や物流、地域に根ざした事業者が多くて、地元の信用金庫や地方銀行との関係が経営の生命線になっている会社が目立ちます。長年の付き合いがある一方で、「担当者が変わったら急に対応が変わった」という相談も少なくない。だからこそ、決算書任せにせず、こちらから継続的に数字を開示していく姿勢が効いてきます。 埼玉の中小企業向け財務コンサル では、地元金融機関との付き合い方も含めて一緒に考えています。
実際、川越や坂戸あたりの事業者の方とお話しすると、「先代からの取引先だから条件の話がしにくい」という声をよく聞きます。人間関係が濃いのは強みですが、数字の話がしづらくなる面もある。そこに第三者として財務コンサルが入ることで、感情と数字を切り分けて話せるようになる。地域密着の経営だからこそ、外部の目が役に立つ場面があるんです。
── 財務コンサルを頼むと、月にどのくらい関わってもらえるんですか?
これは会社の状況によって変わりますが、私たちは伴走型を基本にしています。月1回の訪問やオンライン面談を軸に、そのあいだも試算表や資金繰り表の更新をやりとりしながら進めるイメージです。年に一度だけ来て決算を眺める、というスタイルとはだいぶ違います。
よくあるのは、最初の3か月で資金繰り表と月次の仕組みを整えて、次の3か月で銀行との関係を再構築し、そこから先は改善の効果を測りながら微調整していく、という流れ。半年から1年で、経営者自身が数字を見て判断できるようになるのを目標にしています。私たちがずっと横にいなくても回る状態、これがゴールなんです。
財務の全体像をまずつかみたい方には、各地で開いている 無料の財務セミナー から入っていただくのもいい。基礎的な考え方を知ってから個別相談に進むと、話が早いんです。過去の解説記事は 財務・経営ブログ一覧 にまとめてありますし、支援の姿勢については 中小企業診断士による支援内容 をご覧いただければ雰囲気が伝わると思います。
数字に強い経営は、才能ではなく仕組みで身につきます。月末に胃が痛くならない経営、来月の資金が読める経営。そこへ向けた最初の一歩を、いっしょに踏み出せればと思っています。
── 最後に、相談を考えている経営者へ
迷っているなら、まず一度話してみてほしい、というのが本音です。財務の相談は、問題が大きくなってからよりも、まだ余裕があるうちのほうが打ち手が多い。資金がショートしてからでは選択肢が一気に狭まりますから。
株式会社ザイプラは、東京・埼玉を中心に、神奈川・千葉、そしてリモートで全国の中小企業の財務コンサルティングに携わっています。中小企業診断士が、資金繰り改善から銀行融資、補助金の活用まで、伴走しながら一緒に考えます。初回相談は無料です。「うちの数字、どこから手をつければいいのか」という段階でまったく構いません。 株式会社ザイプラのトップページ から、気軽にお声がけいただければと思います。