中小企業のための財務コンサルティング事例【損益分岐点分析】
「売上はそれなりにあるのに、なぜか毎月の資金繰りが苦しい…」
これは多くの中小企業で見られる典型的な財務課題です。
その原因のひとつとして、損益分岐点(BE:Break Even Point)が把握できていない、あるいは誤った認識のまま経営判断をしているケースがあります。
今回は、実際の財務コンサルティング事例をもとに、「損益分岐点分析」が企業にもたらす効果と、どのように現場で活用されたのかを具体的にご紹介します。
◆ 事例企業:製造業A社(従業員15名・年商1.2億円)
- 所在地:関東地方
- 業種:金属加工・OEM受託製造
- 創業年数:25年
- 経営者:2代目社長(50代)
A社は、取引先からの受託製造が主な収益源で、毎月安定した売上がある一方、手元に資金が残らず、融資の返済が続くことで経営に不安を抱えていました。
「利益が出ているはずなのに、なぜ資金が足りないのか?」という悩みが、財務コンサルティング導入のきっかけとなりました。
◆ 損益分岐点分析で見えた「真の課題」
初回の財務分析では、以下の項目に着目しました:
- 月間固定費:約450万円(人件費・家賃・リース・保険等)
- 売上総利益率:おおよそ28%
- 月間売上:平均1,300万円
この時点で損益分岐点売上高を試算した結果…
450万円 ÷ 0.28 = 約1,607万円
なんと、A社は毎月の平均売上1,300万円では、常に赤字スレスレの状態だったのです。
社長は「まあ1,200万円売れれば黒字だろう」と感覚的に捉えていたため、この結果に非常に驚かれていました。
◆ 具体的な改善アクション
損益分岐点分析の結果をもとに、以下の3つの改善策を提案しました。
① 高利益率商品の比率を上げる
低単価・低粗利の製品を見直し、粗利率が高い製品の受注比率を増やす方向へ調整。
② 固定費の圧縮
外注コストの見直しや、不要な事務所サブスクリプションの削減を実施。
月あたり約30万円の固定費削減に成功。
③ 損益分岐点を社内KPIに設定
「毎月1,600万円以上を目指す」という意識を社員全体に共有し、受注・営業行動に変化が生まれた。
◆ 数字の“見える化”がもたらした変化
財務コンサル導入から6か月後、A社は以下の成果を得ました。
- 月間平均売上:1,450万円に上昇
- 粗利率:28% → 31%に改善
- 固定費:450万円 → 420万円へ圧縮
- 毎月のキャッシュフローが安定し、融資返済もスムーズに
経営者は「今までは“なんとなくの感覚”で動いていたが、今は数字が経営の羅針盤になった」と話してくれました。
この記事へのコメントはありません。